悪臭とは？

ヒトは、鼻腔の上部の粘膜で臭いのもとになる物質を感知し、脳に伝えて臭いを感じます。よい香りだと感じた匂いも、濃度が高くなると耐えられないように感じたり、「おいしそう」と感じる匂いが生まれ育った国の文化によって異なったりするのです。
このように臭いには好みがあり、人によって感じ方が異なりますが、悪臭はほとんどの人が「嫌な臭いだ」と感じる臭いを指します。

特殊清掃現場の死臭・腐敗臭の原因

特殊清掃の現場では、糞尿や生ゴミだけでなく、亡くなられた方の遺体の腐敗による臭いが発生している場合もあります。
生命を維持するための機能が停止すると共に免疫機能も働かなくなった遺体は、細菌などから体を守る機能を失います。そのため、もともと体内に住んでいた腸内細菌や体内環境に存在していた細菌が遺体で増殖を始め、増えた細菌がタンパク質を分解する酵素を出し、遺体の組織を分解していくのです。胃や腸の消化液から組織を守る働きも失われるため、残存していた消化液が消化管を溶かしてしまう現象も始まります。

遺体の腐敗はドライアイスなどで適切な処置を施せば、数日は気にならない程度に抑えることができます。しかし、腐敗を抑える処置をしなければ、室温などの環境にもよりますが、24時間以内に腐敗が始まり2日もすると腐敗臭が気になり始めます。特に夏場の室内や、冬でもこたつや電気毛布をつけたままの場合には、腐敗があっという間に進んでしまうのです。

特殊清掃現場の悪臭の特徴

遺体が腐敗して生じる悪臭は、臭い分子として特に衣類やカーテンなどの布製品や壁紙などの紙製品に浸透していきます。木材や室内のホコリも臭いをため込みやすい特徴があります。特殊清掃の現場の死臭や腐敗臭は、対応が遅ければ遅いほど部屋や家屋全体にしみついてしまうのです。

1．除菌剤を散布する

特殊清掃は、人体に悪影響を及ぼさないような処理と、悪臭を外部に広げることなく低減することが最初の作業です。消臭効果もある除菌剤を、即効性を得るために霧状にして散布します。

2．臭気の発生源の除去と粗消臭

特殊清掃を行う部屋や家に入ることができるようになったら、臭気の発生源である体液や汚物を臭いが漏れない特殊な袋に入れて搬出します。臭気の発生源を除去したら、オゾン消臭機などの機材を使って仮の消臭を行うのです。作業で出入りする際などになるべく屋外や空調に悪臭が漏れないように配慮します。

3．荷物の搬出と処分

あらかじめ依頼者から確認していた「処分せずに残すもの」と、「依頼者に確認してから処分した方がよいと思われるもの」を取り分けて、処分するものを搬出していきます。

4．汚染場所の清掃や撤去

特に、遺体があった場所周辺は念入りな清掃を行います。シミができていたり、床が腐ったりして悪臭のもとになっている場合には、撤去が必要な場合もあります。
汚染場所以外も悪臭のもととなる汚れが付着していますので、一見汚れているようには見えない家屋や部屋全体のクリーニングも行います。

5．オゾン消臭

臭いの原因となる分子を破壊する作用があるオゾン発生器を、状況に応じて1～5日稼働させて効率を考えた消臭を行います。オゾンは不安定な分子であり、その不安定さから空気中の有害物質と酸化反応を起こすのです。有機物由来の悪臭への消臭殺菌効果は抜群ですが、人体にも有害な物質ですので正しい専門的な知識のもとで、作業に当たるスタッフはもちろん、近隣住民への配慮も行います。